擁壁のある家・土地は売れる?確認事項・費用と3つの売却方法
擁壁(ようへき)のある家・土地でも、売却できる可能性はあります。売りやすさを左右するのは、古さだけでなく「安全性・資料・所有関係・買主の利用計画」です。状況を調べたうえで、現況売却・調査や補修後の売却・不動産会社の買取を比較します。
「実家の石積みが古い」「ひび割れが気になる」「造り直さないと売れないと言われた」。そんなときは、緊急の安全対策を除き、工事を契約する前に、現況での査定と必要な調査を進めることが大切です。豊中市・北摂で相談する際の確認事項まで整理しました。
擁壁のある家・土地の無料査定・売却相談はこちら。図面が見つからなくても、所在地と分かる範囲の状況からご相談いただけます。
アイキャッチと擁壁の外観画像は説明用イメージで、実在の売却物件・施工事例ではありません。
擁壁のある家・土地は売れる?価格への影響
擁壁とは、道路や隣地との高低差がある場所で、土砂が崩れるのを防ぐために設ける壁です。コンクリート造や石積みなどがあり、敷地を囲うための塀とは役割が異なります。
国土交通省は、空石積みや増し積みの擁壁などに注意を促しています。ただし、見た目や築年数だけで安全・危険、適法・違法を決めることはできません。構造・地盤・排水・劣化状況と記録を合わせて確認します。
「擁壁があると売れにくい」といわれる主な理由
- 将来の負担が読みにくい:調査・補修・造り替えの要否と費用が分からず、購入判断が止まることがあります。
- 建て替え計画の確認が増える:既存擁壁を使えるか、建物との位置関係や道路条件を確認する必要があります。
- 権利関係を整理する必要がある:隣地との境界、擁壁の所有者、工事時の立入りや費用負担が未確定のことがあります。
- 資金計画との調整が必要:買主が融資を使う場合は、物件条件を伝えて金融機関に確認します。必要資料や判断は金融機関・商品ごとに異なります。
査定では、立地や土地面積などに加え、こうした追加負担や不確実性が検討材料になります。「擁壁付きなら一律に何割安い」という全国共通の基準はありません。資料や見積もりがそろえば、買主が判断しやすくなる場合があります。
古い擁壁を売る前の4つの確認事項

1.ひび割れ・傾き・排水など、外観の変化
安全な場所から擁壁全体と周辺を見て、次の変化を記録します。雨の後や地震の後に気づいた変化、過去と比べた違いも専門家へ伝えます。
- ひび割れ、目地の開き・ずれ、コンクリートの剥がれ
- 壁の傾き・ふくらみ、擁壁上の地面の沈下や亀裂
- 水抜き穴の詰まり、普段と異なるしみ出しや湧水
- 既存擁壁の上へのブロック・土の積み増し、過去の補修跡

国土交通省の「我が家の擁壁チェックシート(案)」も参考になります。所有者が気になる点を整理するために使い、売却時の安全証明や専門家の診断の代わりにはしないでください。
2.設計図・許可・検査・補修の履歴
購入時の重要事項説明書、造成・擁壁の設計図、構造計算書、許可や検査の書類、工事写真、補修の見積書・請求書などを探します。建物の確認済証・検査済証だけで、擁壁の手続きや状態まで確認できるとは限りません。どの工作物・工事を対象にした資料かを見ます。
資料が見つからない場合は、購入時の不動産会社や造成・施工会社、自治体に記録の有無を問い合わせます。保管期間や閲覧条件により確認できないこともあります。資料がない=違法、資料がある=現在も安全、と短絡しないことが大切です。
3.境界・所有者・工事費の負担
擁壁の位置と土地の境界、設置の経緯、所有・管理についての取り決めを調べます。高い土地側・低い土地側のどちらが負担するかは、見た目だけでは決まりません。隣地にまたがる場合や、工事に隣地への立入りが必要な場合は、その調整も必要です。
境界標や図面が不明なら、境界不明の土地の売却と確定測量も確認してください。境界の調査は土地家屋調査士、所有権や費用負担の争いは弁護士等に相談します。
4.接道・建て替え・工事車両の進入条件
建て替えを前提に売るなら、既存擁壁を使う計画か、造り替える計画かを建築士等と確認します。道路の種類・幅員、敷地が道路に接する長さ、工事車両の進入、隣家への影響も検討します。家を解体して更地にしても、擁壁や接道の課題が解消するわけではありません。
詳しくは道が狭い家・私道の接道とセットバック、再建築不可物件の売却方法をご覧ください。
豊中市の盛土規制法と擁壁の手続き
豊中市は2024年4月1日から市域全域を「宅地造成等工事規制区域」に指定しています。市の案内では、盛土規制法の許可に該当しない場合でも、既存擁壁等の手続きが必要になることがあるため、建築等を行う際は手続きフローの確認を求めています。
出典:豊中市「盛土規制法による許可等の手続き」(2026年4月1日更新)
古い擁壁があるという理由だけで売却不可になるものではありません。一方、所有者・管理者・占有者には、宅地を安全に維持するよう努める責任があります。「そのまま売る予定だから、危険な状態を放置してよい」とは考えないでください。
「高さ2m以下なら大丈夫」とは判断しない
大阪府は、建築確認が必要な工作物の例に「高さ2mを超える擁壁」を挙げています。ただし、建築確認・盛土規制法の許可や届出・既存擁壁の安全性は、それぞれ確認する事項が異なります。2m以下ならすべて手続き不要、図面不要、安全という意味ではありません。
擁壁の新設・撤去・造り替え、盛土や切土、建て替えを予定する場合は、所在地の行政窓口へ事前相談します。豊中市では開発審査課、建築関係は建築審査課等への確認が必要です。北摂の他市では、各市の担当窓口・規制区域・取扱いを確認してください。
擁壁のある家・土地を売る3つの方法
売却方法は、必要な安全対策と権利関係を整理したうえで選びます。現況の仲介査定・必要な調査や工事の見積もり・買取条件を同じ前提で並べると比較しやすくなります。
| 方法 | 検討しやすいケース | 負担・注意点 |
|---|---|---|
| ① 現況で仲介売却 | 先に大きな工事費をかけず、買主を探したい | 不具合・未確認事項を説明し、調査と工事の負担を契約で整理 |
| ② 調査・必要な補修後に売却 | 調査で課題が明確になり、工事後の売却条件の改善が見込める | 費用・工期が先行。支出した分だけ高く売れるとは限らない |
| ③ 不動産会社へ売却(買取) | 工事手配や売却活動の負担を抑え、条件を早く整理したい | 取扱いは会社・物件ごと。価格と免責・引渡条件を確認 |
① 現況のまま、仲介で買主を探す
分かっている状態や資料を示し、現況で購入を検討する買主を探します。「調査は誰が行うか」「工事費は価格にどう織り込むか」「建築・融資条件が合わない場合にどうするか」を、契約前に整理します。現況売却でも必要な調査や安全対策を省けるわけではありません。
② 調査し、必要な補修・造り替えをしてから売る
まず専門家の調査で必要な対策を絞り、工事内容・許可等の要否・費用・期間を確認します。表面のひびの補修と、構造・地盤を含む安全対策は別です。買主の建築計画と合わない工事を先に行わないよう、売却条件と一緒に検討します。
③ 不動産会社の買取を検討する
買主となる不動産会社が、調査・工事・再販売等の費用やリスクを踏まえて条件を提示します。一般の購入者に仲介で売る場合より価格が低くなることがありますが、売却までの手間や工事手配を減らせる場合があります。買取不可の物件もあり、契約上の責任が自動的になくなるわけではありません。
仲介との比較は不動産売却と買取の違い、建物の解体も迷う場合は築50年の家を解体せず売る方法をご覧ください。
擁壁の補修費用と売却の手残り
擁壁工事の費用は、高さ・長さだけでは決まりません。既存擁壁の撤去、地盤、基礎、排水、隣地との距離、重機の進入、仮設工事等で変わります。このため、本記事では根拠の異なる全国一律の単価を当てはめず、現地調査後の見積もりを前提とします。
見積もりで分けて確認したい費用
- 調査・設計:現地調査、測量、地盤・構造の確認、設計、申請等
- 撤去・仮設:既存擁壁の撤去、残土や廃材の搬出、仮設の土留め・養生
- 本体・排水:擁壁本体、基礎、地盤対策、排水設備等
- 周辺の復旧:フェンス・庭・舗装・配管等の復旧、隣地や道路の使用条件
- 売却までの支出:売主が負担する仲介・登記等の諸費用、保有期間中の管理費等
見積もりを比較するときは、工事範囲・数量・税込総額・除外項目・追加費用の条件をそろえます。補助制度の利用を考える場合も、対象工事・申請時期・予算の有無を自治体に確認し、適用を見込んで先に発注しないようにします。
工事をすると高く売れても、残るお金が減ることがある
実際に使えるお金は、さらに残債の返済や税金等を考慮して確認します。

例えば、現況の売却価格2,000万円・費用100万円なら手残りは1,900万円。工事後の売却価格2,300万円・費用500万円なら1,800万円です。売値が300万円増えても、費用が400万円増えれば手残りは100万円減ります。いずれも税金・残債返済を含めない仮定の数字です。
安全上必要な工事は、損得だけで省略するものではありません。そのうえで、売主が施工する方法と、調査結果を開示して買主が施工する条件の両方を検討します。
現況売却でも必要な告知と契約条件
知っている不具合や補修歴、行政からの指摘、隣地との協議状況は、仲介会社と買主へ伝えます。「現況有姿」「現状有姿」と書くだけで、説明や責任が一律になくなるわけではありません。
| 分け方 | 伝える内容の例 |
|---|---|
| 確認できた事実 | いつ、どこにひびを見つけたか/いつ、何の工事をしたか |
| 根拠となる資料 | 設計図、許可・検査の書類、専門家の報告書、施工会社の記録 |
| 未確認の事項 | 内部構造、地盤、現在の安全性、所有・費用負担の取り決め等 |
民法572条では、売主が責任を負わない特約をした場合でも、知りながら告げなかった事実等については免責されないと定めています。調査範囲、費用負担、引渡しの状態、契約不適合責任の対象・期間は、宅地建物取引士や弁護士等と具体的な契約条件を確認してください。
相談先と、査定前に準備するもの
| 相談したいこと | 主な相談先 |
|---|---|
| 売却価格・買主探し・仲介と買取の比較 | 不動産会社 |
| 擁壁の安全性・調査・補修や建築計画 | 擁壁・地盤に詳しい建築士や専門業者等 |
| 境界・測量資料 | 土地家屋調査士 |
| 許可・届出・規制の取扱い | 所在地の自治体の開発・建築担当窓口 |
| 所有権や費用負担の争い・契約上の責任 | 弁護士等 |
最初の査定相談では、次の情報があると話が進みます。すべてそろえる必要はありません。分からない項目はそのままお伝えください。
- 所在地:住所、土地・建物のおおよその面積、居住中か空き家か
- 位置関係:道路側・隣地側のどこに擁壁があり、どちらが高いか
- 写真:安全に撮れる範囲で、全景・気になる箇所・道路との位置関係
- 資料と履歴:購入時の書類、図面、補修記録、行政や隣地とのやり取り
- 希望:売却時期、先に工事費をかけられるか、仲介・買取の希望
相談後は、①現況・資料の確認 → ②必要に応じた専門家・行政の調査 → ③売却価格と費用の比較 → ④告知・契約条件の整理、の順に進めます。不動産査定は、擁壁の安全診断とは別です。
相続した実家なら、登記・査定・片付けを進める順番も合わせて確認してください。
擁壁のある家・土地の売却Q&A
Q.築40〜50年の古い擁壁でも売れますか?
売却できる可能性はあります。築年数だけでは決まらず、構造・状態・資料・買主の用途・取引条件で変わります。先に「売れない」「必ず造り替え」と決めず、現況で査定と調査の要否を確認します。
Q.擁壁を造り直さないと売却できませんか?
必ずしもそうではありません。現況で売却し、買主が必要な工事を行う条件を検討できる場合もあります。安全上の課題や法令・建築計画上必要な対策は、売却方法と分けて確認してください。
Q.擁壁の図面や検査の書類がなくても相談できますか?
相談できます。手元にないことだけで違法とは判断できません。購入時の資料や行政の記録を探し、確認できない部分は未確認事項として整理します。追加調査が必要になる場合があります。
Q.高さ2m以下なら、特に調べなくてもよいですか?
高さだけでは判断できません。建築確認、盛土規制法の許可・届出、自治体の手続き、安全性の確認は別です。工事内容や所在地を行政窓口へ伝えて確認してください。
Q.擁壁のある物件は住宅ローンを使えませんか?
擁壁があるだけで一律に利用不可とはいえません。物件の状態や資料、購入・建築計画を伝え、利用する金融機関へ必要書類と融資条件を事前確認します。融資の可否を不動産会社だけで保証することはできません。
Q.隣の家の擁壁か、自分の擁壁か分かりません。
境界資料、擁壁の位置、設置の経緯、過去の取り決めを確認します。土地の高低差だけで所有者・負担者は決められません。境界は土地家屋調査士、権利の争いは弁護士等へ相談します。
Q.ひび割れがあります。査定より修理が先ですか?
急な変形や崩落などが疑われる場合は、安全確保と専門家への相談が先です。緊急性が不明な場合も自己判断で補修せず、調査の要否を確認します。その後、必要な工事と売却方法を比較してください。
豊中市・北摂の擁壁がある不動産のご相談
株式会社スペースグリーンは、豊中市・北摂を中心に、不動産の仲介・買取、築古住宅の再生・空き家活用に取り組んでいます。「今のままで売れるか知りたい」「工事をする前に価格と負担を比べたい」という段階から、物件条件とご希望を整理します。擁壁の安全性や対策は、必要に応じて専門家・行政への確認を進めます。
工事を決める前に、売却の選択肢を整理しませんか
図面がなくても、所在地と気になる点からご相談いただけます。
擁壁のある不動産の無料査定・売却相談豊中市・北摂を中心に対応。査定は安全性の診断ではありません。
売却以外の管理・活用については、一般のお問い合わせをご利用ください。売却・買取・再生の実績・事例もご覧いただけます。
