空き家の維持費は5年でいくら?固定資産税・管理費・修繕費を試算
「実家を相続したけれど、すぐに売るのは気が引ける」「いつか使うかもしれないので、しばらく残したい」。空き家の処分を急いで決められないのは、ごく自然なことです。
ただし、誰も住んでいない家にも毎年お金がかかります。固定資産税だけでなく、庭の手入れ、見回り、保険、雨漏りなどの修繕費が積み重なるためです。
実際には管理方法や建物の状態で大きく変わります。国土交通省の調査で報告された年間維持管理費用も、少額から高額まで幅があります。まずは自分の家の納税通知書から計算を始めるのが確実です。
この記事では、豊中市を拠点に空き家の売却・買取・管理を扱う株式会社スペースグリーンが、「残す・売る・貸す」を比べるための5年間の費用を整理します。売却を決めていない方も、まずはご自身の家の数字に置き換えてみてください。
この記事の要点
- 5年分の維持費は「税金+管理費+保険・光熱費+修繕費」で考える。
- 「空き家になっただけで固定資産税が一律6倍」は誤解。土地の住宅用地特例が外れる条件を理解する。
- 売るか迷ったら、今売った場合の手残りと5年間持った後の手残りを比較する。
対象:主に土地付きの一戸建ての空き家です。マンションの空室では、管理費・修繕積立金など別の支出があるため、そのまま当てはめられません。
売却価格も確認して比べたい方は、豊中市の無料査定・売却相談をご利用ください。相談だけでも構いません。
掲載画像は説明用で、実際の管理物件を撮影したものではありません。
【結論】空き家を5年間保有するといくらかかる?
まずは、築古戸建てをイメージした管理委託・修繕ありの試算例です。税金は後述の評価額を置いて計算し、管理費だけは当社が公表する基本料金を使用しました。
| 費用項目 | 年額換算 | 5年間 |
|---|---|---|
| 固定資産税・都市計画税 | 9.1万円 | 45.5万円 |
| 定期訪問による空き家管理 | 6.6万円 | 33.0万円 |
| 光熱費・空き家向け保険など | 3.0万円 | 15.0万円 |
| 修繕費(5年間で50万円と仮定) | 10.0万円 | 50.0万円 |
| 合計 | 28.7万円 | 143.5万円 |
試算の前提:豊中市の住宅用地で住宅用地特例が適用され、土地評価額1,200万円・建物評価額300万円という仮定。税額は簡易計算で、実際の課税標準額・負担調整・端数処理等とは異なる場合があります。空き家管理は月額5,500円(税込)×12か月。光熱費・保険料は年3万円の仮定。修繕費は5年間合計50万円の仮定です。価格・税額・保険料が5年間変動しないものとしています。
光熱費を見直す場合は、空き家の水道・電気・ガスの維持・解約・再開ガイドで、使わなくてもかかる料金と、管理に必要な契約を残す判断を確認してください。
この金額に含めていないもの:大がかりな草刈り・剪定、家財処分、解体、相続登記、売却費用、住宅ローン返済、所有者が現地へ通う交通費や時間、突発的な大規模工事。実際には別途必要になる場合があります。
この例で最も大きい支出は修繕50万円です。 ただし、修繕が不要な家もあれば、50万円を大きく超える家もあります。見積もりの代わりに使わず、現地確認のきっかけにしてください。
修繕は毎年10万円ずつ発生するとは限りません
例えば、税金・管理費・保険等の支出が毎年18.7万円で、3年目に50万円の修繕が1回必要になった場合は次のようになります。
| 保有年 | その年の費用 | 累計 |
|---|---|---|
| 1年目 | 18.7万円 | 18.7万円 |
| 2年目 | 18.7万円 | 37.4万円 |
| 3年目(修繕50万円を仮定) | 68.7万円 | 106.1万円 |
| 4年目 | 18.7万円 | 124.8万円 |
| 5年目 | 18.7万円 | 143.5万円 |
現実の支出も、毎年均等というより「何も起きない年」と「まとまったお金が必要な年」に分かれることがあります。目先の税額だけで判断しない理由です。
同じ5年間でも、条件によって50万~258万円の試算差
自分で管理・修繕少なめ
50万円/5年
年:税5万+光熱費等2万
5年分の修繕15万
管理委託・修繕あり
143.5万円/5年
年:税9.1万+管理6.6万+光熱費等3万
5年分の修繕50万
修繕負担が重い
258万円/5年
年:税15万+管理6.6万+光熱費等5万
5年分の修繕125万
どれも説明用の仮定であり、実際の最低額・最高額や相場を意味しません。自分で管理するケースの管理費0万円は外注費がないという意味で、交通費・作業時間・庭木の外注費は別です。修繕の有無は現地確認が必要です。
国の調査では、実際の年間維持管理費用はどう分布している?
国土交通省の「令和6年空き家所有者実態調査」では、回答された年間維持管理費用について、10万~20万円未満が16.7%で最も多い区分でした。一方、5万円未満の回答を合計すると47.8%です(費用がかかっていないという回答を含む)。
この調査の「維持管理に要する費用」には、管理委託料のほか、光熱水費、空き家までの交通費、税金なども含まれます。
この調査は所有者による実態回答であり、上の143.5万円のように「将来5年間の税金・管理委託・修繕予算」を同じ仮定で必ず積み上げた数字ではありません。調査の割合と本記事の試算を、同じ意味の平均額として比較しないようにしてください。
参考:国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査結果」図表4-74・用語の解説8頁(PDF)。
固定資産税・都市計画税はどう試算する?
空き家でも、通常は土地や建物に固定資産税がかかります。場所によっては都市計画税も加わります。正確な計算の出発点は、所有者に届く固定資産税・都市計画税の納税通知書と課税明細書です。
豊中市の固定資産税率は1.4%、都市計画税率は0.3%です。住宅用地として特例が適用される場合、住宅1戸当たり200㎡以下の小規模住宅用地では、土地の課税標準額が原則として固定資産税は評価額の1/6、都市計画税は評価額の1/3になります。建物の評価額まで1/6になるわけではありません。
税金9.1万円の計算内訳(あくまで仮定)
土地評価額1,200万円・建物評価額300万円、小規模住宅用地の特例が土地全体に適用され、都市計画税も課税されるとします。
税額計算表は横にスクロールできます →
| 税金の内訳 | 概算式 | 年税額 |
|---|---|---|
| 土地の固定資産税 | 1,200万円×1/6×1.4% | 2.8万円 |
| 建物の固定資産税 | 300万円×1.4% | 4.2万円 |
| 土地の都市計画税 | 1,200万円×1/3×0.3% | 1.2万円 |
| 建物の都市計画税 | 300万円×0.3% | 0.9万円 |
| 合計 | 9.1万円 |
実務上は評価額と課税標準額が一致しないことや、負担調整措置・個別の減額措置等があります。この計算式だけで納税額を確定することはできません。 すでに通知書がある方は、その記載の実税額を試算表に入れるのが最も簡単です。
売却する年の注意点:固定資産税は原則として1月1日現在の所有者にその年度分が課税されます。年の途中で売却しても、自治体への納税義務者が自動的に買主へ変更されるわけではありません。売買当事者間で税額を精算するか、どの日を起点にするかは契約内容を確認しましょう。
参考:豊中市「固定資産税(土地)の税負担の軽減」、豊中市「家屋」、豊中市「都市計画税」、豊中市「固定資産税・都市計画税のしくみ」
空き家になったら固定資産税は6倍になる?
住む人がいなくなっただけで、固定資産税が自動的に一律6倍になるわけではありません。
ただし、放置によって状態が悪化し、市区町村から管理不全空家等・特定空家等として勧告を受けると、敷地の住宅用地特例が適用されなくなる場合があります。土地の税負担が上がる可能性はありますが、「家全体の税金が必ず6倍」とは限りません。また、建物を解体して住宅用地でなくなった場合も、翌年度以降の土地の税金が変わり得ます。
詳細は管理不全空家・特定空家と固定資産税の関係で整理しています。参考:国土交通省「空き家対策特設サイト」。
管理費は「見回り」だけでなく、管理できる距離かどうかで変わる
空き家管理では、外観・郵便物・通風・通水などを確認し、異常があれば早めに対処できる体制を整えます。ただし、どこまで実施するかは契約内容や建物の状態により異なります。
スペースグリーンの空き家管理・見守りサービスは、月1回訪問・月額5,500円(税込)を基本としています。この場合、5年で5,500円×12か月×5年=33万円です。

雑草や庭木の状態確認と、実際の草刈り・剪定作業は別です。草刈り・大がかりな清掃などは別途見積もりで、所在地によって出張費が必要になる場合もあります。遠方から自分で通う場合も、交通費と時間の負担を忘れずに見積もりましょう。
例えば月1回、往復3,000円で通うなら、交通費だけで3,000円×60回=18万円です。主な試算143.5万円には含めていないため、自分で通う方は別枠で足してください。
月1回の定期訪問は、常時監視や建物の安全性を判定する専門調査とは異なります。台風後の確認など、追加訪問が必要な場合は対応可否と費用を事前に確かめてください。
修繕費は「壊れたら直す」で済まないことがある
空き家でも、屋根・外壁・雨樋・給排水管・窓・庭木などの状態は変化します。特に雨水の侵入は、発見が遅れると修繕範囲が広がる可能性があります。
外壁の落下や倒壊のおそれなど、周囲への危険がある場合は安全確保を優先し、自治体や専門業者へ相談してください。5年後も使う予定がある場合は、安全性や雨漏りへの対応を優先して修繕の必要性を確認します。一方で売却を考えている場合、査定前に全面リフォームや解体を決める必要はありません。 現況のまま売却できるか、買主側が工事を行う前提で条件調整できるかを比べる余地があります。
雨漏り・シロアリが気になる場合は、雨漏り・シロアリのある家を売るときの注意点も参考になります。
近隣から「木が道路へ伸びている」「外壁が落ちそう」と連絡を受けた場合は、費用比較よりもまず安全確認が先です。豊中市の空き家への苦情対応・近隣への返答例に、初動の手順と相談先をまとめています。
「5年持つ」か「今売る」かは、手残りで比較する
維持費の合計だけでは売却の正解は決まりません。5年後の不動産価格、売却に必要な仲介手数料・登記費用等、譲渡所得税、活用による賃料収入、今後の家族利用も考える必要があります。
比較の基本は次の式です。
5年後に売った場合の実質手残り = 5年後の売却手残り見込額 - 5年間の維持費
これを、今売った場合の売却手残り見込額と比べます。
例えば、今売った場合の手残りが1,800万円、5年後も手残りが1,800万円と仮定すると、維持費143.5万円を差し引いた5年後の実質手残りは1,656.5万円です。この条件だけなら、今売る方が143.5万円多く残ります。
今売る場合の手残り(仮定)
1,800万円
5年後も売却手残りが同額なら
1,656.5万円
1,800万円-維持費143.5万円
ここから逆算すると、5年後の売却手残りが1,943.5万円以上になって初めて、143.5万円の維持費を支払った後でも今の1,800万円に並ぶ計算です。売却価格そのものではなく、各種費用・税金を差し引いた「手残り」で比べるのがポイントです。
逆に、5年後の手残りが現在より143.5万円を超えて増える、または家族が使う・賃料収入が得られるといった価値があれば、保有する意味が出る可能性があります。ただし、将来価格は保証されません。この単純比較では、各時点の売却費用・譲渡所得税を差し引いた手残りを置き、保有期間中の税金は維持費に含めています。お金の時間価値・物価変動・運用収益は考慮していません。
売却の手残りは、想定成約価格から仲介手数料、契約関連費用、必要に応じた測量・残置物処分等、譲渡所得税などを差し引いて考えます。買取であれば引渡し条件や費用負担が異なることもあるため、単純な査定価格だけでは比較できません。
早めに売却条件を確認したい家
- 今後住む家族が決まっておらず、保有する具体的な目的がない。
- 雨漏り、外壁、庭木などの問題があり、修繕費の見通しが立たない。
- 相続人が複数で、税金・管理・売却方針の負担分担が決まっていない。
- 遠方にあり、管理に通うことが難しい。
- 相続空き家の税制上の期限が近い可能性がある。
しばらく保有する判断が合う可能性がある家
- 1~2年以内など、家族が再び使う具体的な計画がある。
- 定期管理の担当・費用を決められ、建物の大きな傷みも見られない。
- 賃貸や他の活用方法について、収入と初期投資を現実的に比較できる。
- いつまで保有するか、次回の見直し時期を家族で合意している。
「売るか貸すか」で迷う方は、相続した実家は売る?貸す?手残り・税金で比較もご覧ください。
5年後まで判断を先送りしないための「家族メモ」
残す判断をするなら、次の項目だけでも紙やスマートフォンのメモに残しておきましょう。
- 残す目的:家族が使う予定がある/賃貸を検討する/相続の話し合い中、など。
- 次に見直す日:半年後・1年後など具体的な日付を決める。
- 管理の担当者:誰が鍵、郵便、庭、修繕の連絡窓口を持つか。
- 年間の予算:税金・管理費の上限と、突発修繕に使える金額。
- 売却へ切り替える条件:雨漏りが進んだ、修繕見積もりが予算を超えた、利用予定がなくなった、など。
この5項目が決まっていれば、「売らない」ことも期限と予算を持つ積極的な選択になります。決まらないまま5年を過ごすのとは違います。
相続した空き家なら、売却の税制上の期限も確認
一定の条件を満たす相続空き家には、売却時の譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。2024年以降の譲渡で、対象の家屋・敷地等を取得した相続人が3人以上の場合、控除上限は2,000万円です。
建築時期、相続後の利用状況、売却期限など複数の要件があり、相続した家なら何でも対象になる制度ではありません。2026年10月29日時点の制度では、適用対象となる譲渡期間は2027年12月31日までで、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ることなども条件です。保有を5年間延ばす前に期限を確認してください。
制度の詳細:相続空き家の3,000万円特別控除の条件と手続き。一次情報:国税庁 No.3306。最終的な適用可否は税務署・税理士へ確認しましょう。
また、相続した家の名義変更が済んでいない方は、相続登記義務化と期限の確認ポイントも先に確認しておきましょう。
特例を使うつもりで保有する場合は、売却・改修・解体の順番によって要件が変わることがあります。売ると決める前ではなく、売り方を決める前に税務の確認を行うと安心です。
売るか決める前に、まず3つの数字を集める
次の3つがそろえば、家族間の話し合いはかなり具体的になります。
- 今年の納税通知書にある固定資産税・都市計画税の合計額。 課税明細書も保存します。
- 今後必要な管理・修繕の見積額。 どの作業を自分で行い、何を外注するか分けます。
- 現在の売却価格と費用を差し引いた手残りの目安。 仲介・買取など複数の方法を比較します。
ご自身で計算するときは、以下の欄に実額を入れてください。
| 自宅の5年間費用メモ | ご自身の金額 |
|---|---|
| 固定資産税・都市計画税(年額)×5 | ______万円 |
| 管理費(月額)×60 | ______万円 |
| 光熱費・保険料(年額)×5 | ______万円 |
| 5年間で予定する修繕・庭木・清掃等 | ______万円 |
| 5年間合計 | ______万円 |
売却をまだ決めていなくても、無料査定で現在価格の目安を確かめることはできます。家財が残っている方は、家財が残ったままの家の売却方法も参考にしてください。
よくある質問
Q. 空き家は何年放置すると売れなくなりますか?
「何年で売れなくなる」という一律の線引きはありません。建物の状態、土地の形、道路との接し方、周辺需要などで変わります。築年数だけで解体を決めず、現況での売却方法を確認するのがよいでしょう。豊中市の空き家総合ガイドでも整理しています。
Q. 固定資産税の軽減を維持するため、古家は残した方が得ですか?
税金だけでは判断できません。建物を維持する費用や危険性、売却価格、解体費用を含めて比較します。住宅用地の扱いは個別事情によるため、解体前に自治体へ確認してください。
Q. 火災保険は住んでいない家でも続けられますか?
契約内容と建物の利用・管理状況によります。空き家に変わったら保険会社または代理店に申告・確認し、補償の可否を確かめてください。詳しくは空き家の火災保険の注意点で解説しています。
Q. 兄弟で相続した空き家の維持費は誰が払いますか?
共有の状況や相続人間の合意などによって負担の整理が必要です。誰が税金を立て替えるか、管理を担当するか、売却判断をいつ行うかを記録しておくとトラブル予防につながります。兄弟・姉妹で空き家を相続した場合の整理方法もご覧ください。
Q. 売却するか決まっていなくても管理だけ頼めますか?
はい。スペースグリーンでは、売却・買取と切り離して空き家管理・見守りのご相談をお受けしています。月額5,500円(税込)の基本サービスのほか、必要な追加作業は個別にお見積もりします。
Q. 空き家のマンションにも、この5年間の試算を使えますか?
土地付き戸建て用の試算なので、そのままでは使えません。マンションでは管理組合の管理費・修繕積立金・駐車場契約料なども、空室の間に発生し得ます。一方、建物全体の共用部分の修繕は管理組合の計画に基づくため、費用構造が異なります。通知書・管理規約・毎月の引落額から別に計算してください。
まとめ|「5年待つ理由」と「5年で出ていくお金」をセットで考える
空き家を残すこと自体が悪いわけではありません。大切なのは、5年後に何をするために持つのかをはっきりさせ、途中でかかる費用を把握しておくことです。
この記事の仮定では5年間の維持費は143.5万円でした。実際の費用は税額・建物の状態・管理方法で変わります。まず納税通知書と建物の現状を確認し、「今売った場合の手残り」「5年後の手残り」「保有中の支出」を同じ表に並べてみてください。
豊中市・吹田市・池田市・箕面市など北摂で、相続した実家や空き家の今後に迷っている方へ。 スペースグリーンは、売却を前提にしないご相談にも対応しています。古い家・長屋・荷物が残る家でも、現況から整理できます。
お問い合わせ時の記入例:「豊中市〇〇町の相続した空き家を5年ほど残すか迷っています。納税通知書の税額は年〇万円です。管理費と、今売った場合の手残りを比較したいです。」
制度・公的情報の確認日:2026年10月29日。掲載金額は説明用の試算であり、見積額・市場平均・将来の売却価格を示すものではありません。税務・登記・保険・建築の個別判断は自治体、税理士、司法書士、保険会社、建築士等へご確認ください。
主な一次情報:
