特定空家等とは?指定される条件やリスク、対策をわかりやすく解説
空き家を所有している方の中には、
「特定空家等って何?」
「普通の空き家と何が違うの?」
「指定されるとどうなるの?」
と不安に感じている方も多いのではないでしょうか。
近年、全国的に空き家が増加しており、適切に管理されていない空き家は地域の安全や景観に悪影響を及ぼすことがあります。そのため、「空家等対策の推進に関する特別措置法(空家法)」により、危険性の高い空き家は「特定空家等」として自治体から指導・勧告などを受ける場合があります。
この記事では、特定空家等の意味や指定される条件、所有者が受ける影響、指定を避けるための対策についてわかりやすく解説します。
特定空家等とは?
どこの町にも、長年放置され、屋根や外壁が傷み、今にも倒壊しそうな空き家はありませんか?瓦がずれ落ちそうになっていたり、外壁に大きなひび割れが生じていたり、庭木や雑草が道路まではみ出していたりする住宅を見かけることがあります。
特定空家等とは、放置することで周囲に悪影響を及ぼすおそれがある空き家のことです。具体的には、次のような状態の空き家が対象となります。
- 倒壊など著しく保安上危険となるおそれがある
- 著しく衛生上有害となるおそれがある
- 適切な管理が行われず、景観を著しく損なっている
- 周辺住民の生活環境に悪影響を及ぼしている
管理状態が著しく悪い空き家は、自治体から「特定空家等」に指定され、改善に向けた助言・指導、勧告、命令などを受ける可能性があります。さらに勧告を受けると、土地の固定資産税に適用されていた住宅用地の特例が外れ、税負担が大きくなる場合もあります。
特定空家制度が始まったのは?

特定空き家制度が始まったのは、2015年(平成27年)5月26日からで、空家等対策の推進に関する特別措置法(空家対策特措法)が全面施行されたことにより創設された制度です。法律自体は2014年(平成26年)11月27日に成立・公布され、2015年5月26日に全面施行されました。
2015年に施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法」では、倒壊の危険や衛生上の問題など、周辺の生活環境に深刻な悪影響を及ぼすおそれがある空き家を「特定空家等」として、市区町村が助言・指導、勧告、命令、行政代執行などの措置を講じることができるようになりました。
さらに、2023年12月の法改正では、新たに「管理不全空家等」という区分が創設されました。
- 特定空家等:すでに倒壊や衛生面などで危険な状態にある空き家
- 管理不全空家等:現時点では特定空家等ではないものの、このまま放置すると特定空家等になるおそれがある空き家
従来は、空き家が「特定空家等」に該当するまで自治体が十分な措置を講じることが難しいケースもありました。しかし、法改正により「管理不全空家等」の段階から助言・指導や勧告を行えるようになり、危険な状態になる前に適切な管理を促すことが可能となりました。
また、「管理不全空家等」として勧告を受けた場合も、住宅用地に適用される固定資産税の軽減措置(住宅用地特例)の対象外となる可能性があります。そのため、「まだ危険な状態ではないから大丈夫」と放置するのではなく、早めに管理や活用を検討することが重要です。
特定空家等に指定されるおそれがある主な例

特定空家等は、単に「空き家である」という理由だけで指定されるわけではありません。建物や敷地の管理が不十分で、周辺の生活環境に悪影響を及ぼすおそれがある場合に指定される可能性があります。
🏚 建物の老朽化・倒壊の危険
建物の老朽化が進むと、周囲の人や建物に危険を及ぼす可能性があります。
- 屋根瓦がずれたり、落下しそうになっている
- 外壁や外装材が剥がれ落ちそうになっている
- 建物が傾いている
- 雨漏りによって柱や梁が腐食している
- ベランダや屋根の一部が破損している
🌿 庭木や雑草の放置
敷地内の管理不足も、特定空家等に指定される要因となります。
- 雑草が伸び放題になっている
- 樹木が道路や隣地へ越境している
- 枯れ木や倒木のおそれがある樹木を放置している
- ツル植物が建物全体を覆っている
🗑 ゴミの放置・衛生環境の悪化
衛生上の問題が発生すると、近隣住民にも大きな影響を与えます。
- 不法投棄されたゴミを放置している
- 家財や粗大ごみが庭に散乱している
- 悪臭が発生している
- ハエ・蚊・ゴキブリなどの害虫が大量発生している
- ネズミやハクビシンなどの害獣が住み着いている
🔥 防犯・防災上の問題
管理されていない空き家は、犯罪や火災の原因となることがあります。
- 窓ガラスやドアが壊れたままになっている
- 誰でも自由に出入りできる状態になっている
- 不法侵入や不法占拠のおそれがある
- 放火される危険性が高い
- 不審者のたまり場になっている
🏘 周辺環境や景観への悪影響
空き家の状態によっては、地域全体の景観や生活環境にも悪影響を及ぼします。
- 建物の見た目が著しく損なわれている
- 落書きや破損が放置されている
- 近隣住民から苦情が寄せられている
- 通行人や近隣住宅に危険を及ぼすおそれがある
つまり、空き家であっても、所有者が定期的に訪問し、清掃や換気、除草、建物の点検や修繕などを適切に行っている住宅は、原則として「特定空家等」に指定される可能性は低いと考えられます。
特定空家等に指定されるとどうなる?

特定空家等に指定されると、すぐに解体されるわけではありません。自治体は段階的に所有者へ改善を求め、それでも改善されない場合には、より強い措置へと進んでいきます。
① 助言・指導
まずは、建物や敷地を適切に管理・修繕するよう、自治体から助言や指導が行われます。この段階で適切な管理や修繕を行えば、多くの場合は問題が解消されます。
② 勧告
助言や指導を受けても改善が見られない場合は、「勧告」が行われます。勧告を受けると、住宅用地に適用されている固定資産税・都市計画税の住宅用地特例の対象から外れる可能性があります。
その結果、土地の固定資産税や都市計画税の負担が大きく増えるケースもあります。
③ 命令
勧告後も改善されない場合は、「命令」が出されます。命令に違反すると、50万円以下の過料が科される場合があります。
④ 行政代執行
命令にも従わず、危険な状態が改善されない場合は、自治体が所有者に代わって建物の解体や危険箇所の除去などを行う「行政代執行」が実施されることがあります。
行政代執行にかかった費用は、原則として所有者へ請求されます。支払いに応じない場合は、財産の差押えなどの法的手続きが行われる可能性もあります。
特定空家等に指定されないための対策

特定空家等になる前に、定期的な管理を行うことが大切です。
例えば、
- 定期的に換気する
- 草刈りや庭木の剪定を行う
- 建物の傷みを早めに修繕する
- 郵便物を定期的に確認する
- 不要な物を整理する
など、日頃の管理だけでもリスクを大きく減らせます。遠方に住んでいる場合は、空き家管理サービスを利用する方法もあります。
活用や売却も有効な選択肢です

今後利用する予定がない空き家は、そのまま放置するのではなく、早めに活用方法を検討することをおすすめします。空き家は適切に管理しないと老朽化が進み、修繕費や維持管理費が増えるだけでなく、特定空家等や管理不全空家等に指定されるリスクも高まります。
一方で、空き家にはさまざまな活用方法があります。
- 売却して現金化する
- 賃貸住宅として貸し出す
- リフォームして自宅や収益物件として再利用する
- 駐車場として活用する
- 家庭菜園や貸し農園として活用する
- 資材置場やトランクルーム用地として利用する
どの方法が適しているかは、建物の状態や立地、周辺環境、所有者様のご希望によって異なります。「まだ使える家だから残したい」「管理が大変なので手放したい」「できるだけ費用をかけずに活用したい」など、お悩みは人それぞれです。
維持管理が難しいと感じたら、一人で悩まず、空き家の専門家へ早めに相談することをおすすめします。早い段階で相談することで、売却や活用の選択肢が広がり、余計な費用や手間を抑えられる可能性があります。
まとめ
特定空家等とは、放置することで周辺環境に悪影響を及ぼすおそれがある空き家のことです。
指定されると、自治体から助言・指導・勧告・命令が行われ、改善されない場合には固定資産税の軽減措置が受けられなくなったり、行政代執行の対象となったりする可能性があります。
空き家は「まだ大丈夫」と思っていても、時間の経過とともに劣化が進みます。定期的な管理や早めの活用・売却を検討することで、大切な資産を守り、不要なトラブルを防ぐことにつながります。
当社では、空き家の管理・売却・活用方法のご相談を承っております。「実家を相続したけれど管理が難しい」「売却するべきか活用するべきか迷っている」といったお悩みがございましたら、お気軽にご相談ください。
